「アルキメディカのCM業務」
関根:アルキメディカは病院設計に関わる様々なことに熟知している人が集まっている集団であるという大きなメリットがあると思います。病院設計というのは複雑で、関わるスタッフが多岐に渡り、医療の変化もありますし、そういう複雑さというものも理解して長い目で見てそこの病院がどうあるべきかというのを考える人がいないと適切なCM業務ができないと思うのです。
医療建築の中でのCMというのは、他の部門のCMより専門性が必要になるのかなと思っています。
桑野:非常に狭い世界かもしれないけど、非常に奥が深い世界ですよね。
CMをやっていて思うのは最終的には、顧客から信頼されるような存在になれるかどうかだと思います。今後も何かあったら相談の乗ってくださいね、と言われるような存在であれば仕事はつながっていくと思うんです。
CM業務って言われているものは幅広いということは今の話でもお分かりになったと思うのですが、今日本で求められている重要な業務なのです。
施主の不安に対して意見を述べ、業務を果たせる人というのが求められていくというふうに考えてられると思います。
「コスト・マネージメントについて」
桑野:CM業務の中のコスト・マネージメントについてですが、コストというのはなかなか難しくて、ある意味施主が一番頼りにしたい部分だと思います。
関根:コストで重要なのは、設計途中も現場変更でもそうですが、バリューエンジニアリング(VE)案が出てきた時に、コストや品質・工期・安全性等の総合的に妥当かどうかという判定は、かなり重要になります。品質・工程・コスト等を理解し対応が必要となります。単純に品質を落として、コストダウンを図ることはVE案ではありません。VEに伴うリスクを理解しコストを見直すという作業が必要になってくると思います。VEの手法は、別の機会にお話出来たらと思います。
桑野:まさにおっしゃる通りなのですが、それに加えて一番苦心されるところは、設計業務における積算業務というのは、複合単価による積算行為ですよね。それでかつ現場では、単価が最終段階になって整理してみないと実は出てこないのですよね。だからそういった中で実は、複合単価の仕組みをよくわかってないと判断できない。
発注業務の中身についてそれなりの知識を持っていないと重要さというのがわからないということになると思います。でも一番悩んでいるのは施主だから、施主はそれが一番よくわかっているわけですよね。
だからその一番の悩みのところについての知識だとか経験を大切にするということでCMにおけるコスト業務というのは重要だと思います。
関根:最後に一つ付け加えると、最近ECI方式(施工予定者技術協議方式)での発注を多く聞きますが、ECI方式というのは実は大きな課題がありまして、ECI方式をやるときはプロポーザルの時点でいかに競争性を働かせるか、そういう環境づくりが必要なのです。施工者が内定している上でのECI方式では意味があまりないのです。施工者に競争させるような環境を作っていくというのが大事ですね。
ゼネコン頼りの設計になって誰もコントロールできない、ゼネコンが全部ブラックボックスの中でお金を管理してしまうというようなことになりますので、その辺のリーダーシップを誰が取るのかというのは、ECI方式にしてもDB方式にしてもそこが肝心なのかなと思っています。
※1 アットリスクCM・・各種マネジメント業務に加えて、CMrが施工に関するリスクを負う方式(工事費の最大保証金額を設定する場合もある) 出典・国土交通省HP 地方公共団体等におけるCM方式活用事例集より
※2 ピュア型CM・・・CMrが、設計・発注・施工の各段階において、 マネジメント業務を行う方式
出典・国土交通省HP 地方公共団体等におけるCM方式活用事例集より
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